研究

今月の特集

Acoustic impedance microscopy





生命機能科学研究室の研究


2011.April

VGAT venus Ratの小脳観察


γ-アミノ酪酸(GABA)は高等動物の脳にとって重要な神経伝達物質の一つです。本研究室では、Vesicular GABA transporter(VGAT)タンパク質に蛍光タンパク質venusが共発現するように遺伝子改変したラットを用いて、小脳皮質における抑制性神経細胞の発達過程を観察しています。

■VGATの分布

VGATは、神経伝達物質GABAをシナプス小胞に取り込むためのタンパク質で、抑制性の情報を出す前シナプスに分布しています。抑制性神経細胞の指標となります。

■小脳皮質のVGAT(生後14日)

小脳では、分子層(ML)からプルキンエ層に抑制性の神経細胞が分布しています。VGATタンパク質を示す蛍光が、分子層のバスケット細胞、星状細胞、プルキンエ層のゴルジ細胞に強く分布しています。顆粒層(IGL)には蛍光の分布はあまり見られません。

■小脳皮質のVGAT(生後36日)

分子層の発達とともに、VGATの分布が広がっています。VGATは前シナプスに分布するため、プルキンエ細胞の樹状突起には蛍光は見られません。

Reference:
Quantitative chemical composition of cortical GABAergic neurons revealed in transgenic Venus-expressing rats
Uematsu M., Hirai Y, Karube Y, Ebihara S, Kato M, Abe K, Obata K, Yoshida S,Hirabayashi M, Yanagawa Y, Kawaguchi Y. Cerebral Cortex 18 (2008) pp. 315 - 330.